心電図とは?

心電図とは、心臓が規則正しくポンプ動作をするための命令(興奮)によって発生する微弱な電気の時間的変化を、身体に接触させた2つの金属板(電極)のセットから計測してさらに増幅器(微弱な信号を大きくする素子、トランジスターなど)を通して波形としたものです。

心臓では、右心房の上にある洞結節から興奮が発生しています。この興奮は細胞膜を通るイオン量の変化から電流が生じることで起きていますが、その変化はその隣の細胞膜のイオン量を変化させ電流が流れていきます。この変化が順次心臓内の細胞膜で起こることにより、心臓全体に興奮による微弱な電流が流れることになります。

健常な状態では、洞結節から発生した興奮はまず心房内に放射状に拡がり、心房内に興奮が行き渡ると心房が収縮します。一方、その興奮の一部は心房と心室の中間にある房室結節に入り、そこから左右の心室全体に拡がっていき心室が収縮します。

この一連の興奮で流れる微弱電流を、2つの電極を心臓に対して適切な位置関係に配置させて計測します。その波形を2次元グラフのx軸方向に時間を、y軸方向に振幅(電流の強弱を示す)を取って記録します。すると、洞結節から発生した興奮の流れに応じた特徴的な波形が記録できるのです。

まず、洞結節から発生した興奮が心房内に拡がり心房が興奮したときに小さな山の波形が起こります。これをP波と呼んでいます。

続いて、房室結節を通り心室に伝わった興奮が心室全体に拡がる間にP波とは違う急峻で大きな山の波形が起こります。これをQRS波と呼んでいます。一度興奮した心室は、次の興奮を受けるための準備をします。このときにもなだらかな山の波形であるT波が起こります。心電図の解析は、これらPQRSTの波のリズムや振幅の変化をとらえるものです。